歯科医院を運営する上で、医療広告ガイドラインを遵守し、専門医資格を正しく表示することは非常に重要です。
この記事では、2024年9月時点で広告可能な8つの歯科専門医資格と、最近のガイドライン改正で新たに追加された矯正歯科・歯科保存専門医について詳しく解説します。

どの専門医資格なら広告に出せて、どう書けばルール違反にならないのでしょうか?



広告できる資格と正しい表示ルール、そして注意すべき禁止事項を具体的に説明しますね
- 歯科医院の広告で表示できる最新の専門医資格(8種類)
- 専門医資格を広告に載せる際の正しいルールと禁止されている表現
- ウェブサイトで詳しい情報を載せるための「限定解除」の条件
- 今後、広告可能になるかもしれない専門医分野
医療広告ガイドライン遵守と専門医資格表示の基本


歯科医院を運営する上で、医療広告ガイドラインを遵守することは極めて重要です。
このセクションでは、歯科広告がなぜ規制されるのか(歯科広告における規制の目的と背景)、どのようなものが「医療広告」と判断されるのか(「医療広告」と判断される基準)、専門医資格を表示する際の専門医資格表示ルールの重要性、そして常に新しい情報を追うべきガイドライン改正の動向と情報収集の必要性について、基本的な知識を解説します。
これらの基本を理解することが、法令を遵守し、患者さんからの信頼を得るための適切な広告活動の第一歩となります。
歯科広告における規制の目的と背景
歯科医療を含む医療に関する広告が規制される主な理由は、医療が人の生命や身体に直接関わるサービスであり、不適切な情報によって患者さんが誤った選択をするリスクを防ぐためです。
医療は専門性が高く、広告内容だけでサービスの質を正確に判断することは難しいため、患者保護の観点から、広告できる内容や表現に制限が設けられています。
厚生労働省は、この目的のために医療広告ガイドラインを定めています。



なぜ歯科の広告だけ、こんなに厳しいルールがあるのですか?



患者さんの健康を守るため、そして医療の信頼性を保つために必要なルールなのです
この規制は、不当な広告による誘引を防ぎ、患者さんが適切な医療サービスを受けられる環境を整えることを目指しています。
「医療広告」と判断される基準
「医療広告」とは、看板やチラシだけでなく、ウェブサイトやSNSなども含め、特定の条件を満たす情報発信全般を指します。
具体的には、①患者の受診等を誘引する意図があること(誘引性)と、②医療を提供する者の氏名や病院・診療所の名称が特定可能であること(特定性)の2つの要件を満たすものが医療広告と判断されます。
要件 | 説明 |
---|---|
誘引性 | 患者に受診などを促す意図が明確であること |
特定性 | 医療機関名や医師名が具体的にわかること |



クリニックのブログやSNSも広告になることがあるのですか?



はい、誘引性と特定性の両方を満たせば、医療広告とみなされます
自身のクリニックの情報発信が、これらの基準に該当するかどうかを常に意識する必要があります。
専門医資格表示ルールの重要性
専門医資格は、特定の分野における歯科医師の高度な知識と技術を示すものであり、患者さんにとっては歯科医院を選ぶ上で重要な情報源となります。
そのため、広告で専門医資格を表示する際には、医療広告ガイドラインで定められたルールを厳守することが不可欠です。
誤った表示は、患者さんに誤解を与えるだけでなく、ガイドライン違反として行政指導や罰則の対象となる可能性があります。



専門医資格を持っていることを、もっとアピールしたいです…



ルールを守った上で、正しく表示することが信頼につながります
正しいルールに則って専門性を伝えることが、患者さんからの信頼を得る上で非常に重要です。
ガイドライン改正の動向と情報収集の必要性
医療広告ガイドラインは、医療技術の進歩や社会情勢の変化に対応するため、定期的に見直しや改正が行われます。
例えば、広告可能な専門医資格も段階的に追加されており、2023年10月には「補綴歯科専門医」、2024年9月には「矯正歯科専門医」と「歯科保存専門医」が新たに広告可能となりました。
改正年月 | 新たに広告可能となった専門医資格 |
---|---|
2023年10月 | 補綴歯科専門医 |
2024年9月 | 矯正歯科専門医、歯科保存専門医 |



ガイドラインって、結構変わるんだね。どうやって情報を追えばいいのでしょうか?



厚生労働省や関連学会のウェブサイトを定期的に確認するのが確実です
常に最新の情報を把握し、ガイドラインの変更点に対応していく姿勢が、クリニック運営において求められます。
広告可能な8つの歯科専門医資格とその分野 (2024年9月時点)


医療広告ガイドラインにおいて広告が認められている専門医資格を正確に把握することは、法令遵守と患者さんへの適切な情報提供の観点から非常に重要です。
このセクションでは、2024年9月時点で広告可能な8つの歯科専門医資格、すなわち口腔外科、歯周病、歯科麻酔、小児歯科、歯科放射線、補綴歯科、矯正歯科、歯科保存の各専門医について、それぞれの専門分野と役割を解説します。
専門医資格 | 認定団体 | 主な専門分野 | 広告可能時期 |
---|---|---|---|
口腔外科専門医 | 日本口腔外科学会 | 親知らず抜歯、顎関節症、口腔がん等の外科処置 | 以前から |
歯周病専門医 | 日本歯周病学会 | 歯周病の診断・治療、歯周組織再生療法 | 以前から |
歯科麻酔専門医 | 日本歯科麻酔学会 | 歯科治療時の麻酔管理(静脈内鎮静法、全身麻酔等) | 以前から |
小児歯科専門医 | 日本小児歯科学会 | 子どもの虫歯予防、治療、歯並び管理 | 以前から |
歯科放射線専門医 | 日本歯科放射線学会 | レントゲン、CT等の画像診断 | 以前から |
補綴歯科専門医 | 日本補綴歯科学会 | 入れ歯、クラウン、ブリッジ、インプラント等の補綴治療 | 2023年10月〜 |
矯正歯科専門医 | 日本矯正歯科学会 | 歯並び、噛み合わせの矯正治療 | 2024年9月〜 |
歯科保存専門医 | 日本歯科保存学会 | 虫歯、根管治療、歯周病等による歯の保存治療 | 2024年9月〜 |
これらの専門医資格を正しく理解し、必要に応じて広告に活用することが、患者さんの信頼獲得に繋がります。
日本口腔外科学会認定 口腔外科専門医
口腔外科専門医は、親知らずの抜歯、顎関節症、口内炎、口腔がんなど、口の中とその周囲の外科的治療を専門とする歯科医師です。
大学病院や総合病院の口腔外科での研修を含め、最低6年以上の専門的な訓練を受け、厳しい審査に合格した歯科医師のみが認定されます。



難しい親知らずの抜歯もお願いできるのでしょうか?



はい、口腔外科専門医は難症例の抜歯も得意としています
口腔外科領域の高度な知識と技術を持つ専門医であるため、複雑な外科処置が必要な場合に頼りになります。
日本歯周病学会認定 歯周病専門医
歯周病専門医は、歯ぐきの腫れや出血、歯の動揺といった歯周病の診断と治療、さらには歯周組織再生療法などの高度な治療を専門的に行います。
日本歯周病学会が定める5年以上の研修期間と多数の症例経験が求められ、歯周病治療に関する深い知識と技術を有します。



歯周病がかなり進んでいるんだけど、専門医なら何とかしてくれますか?



重度の歯周病に対しても、専門的な知識と技術で対応します
進行した歯周病や複雑なケースにおいて、専門的な治療計画と高度な技術を提供できるのが歯周病専門医です。
日本歯科麻酔学会認定 歯科麻酔専門医
歯科麻酔専門医は、治療中の痛みや不安を和らげるための麻酔管理を専門とし、特に全身疾患を持つ患者さんや歯科治療恐怖症の方への安全な麻酔提供に貢献します。
歯科治療における静脈内鎮静法や全身麻酔の実施・管理において、500症例以上の経験が必要とされるなど、高度な麻酔技術と全身管理能力が要求されます。



治療がすごく怖いんだけど、眠っている間に終わらせることはできますか?



歯科麻酔専門医は静脈内鎮静法などで、リラックスして治療を受けられるようサポートします
安全かつ快適な歯科治療を実現するために、麻酔に関する専門知識と技術を提供する重要な存在です。
日本小児歯科学会認定 小児歯科専門医
小児歯科専門医は、乳歯から永久歯への生え変わり時期を含む、子どもの口の健康管理と治療を専門とします。
虫歯予防、歯並びの管理、外傷の処置など、子どもの成長発育に合わせた歯科医療を提供します。
子どもの心理や行動に関する知識も深く、0歳から15歳頃までの幅広い年齢層の子どもたちに対して、恐怖心を与えないような工夫を凝らした診療を行います。



子どもが歯医者嫌いで困っているんだけど、大丈夫でしょうか?



小児歯科専門医は、お子さんが安心して治療を受けられるよう、様々な工夫をしています
子どもの口の健康を守り育てる専門家として、成長段階に応じた適切なケアを提供します。
日本歯科放射線学会認定 歯科放射線専門医
歯科放射線専門医は、レントゲン写真、CT、MRIなどの画像診断を専門とし、病気の正確な診断や治療計画の立案に貢献します。
口腔領域の様々な疾患について、年間約2,000件以上の読影を行うなど、高度な画像読影能力が求められます。
撮影技術の管理や放射線被ばくの低減にも配慮します。



他の病院で撮ったレントゲン写真の診断もお願いできますか?



はい、他の医療機関で撮影された画像の読影も専門的に行います
正確な画像診断を通じて、他の歯科医師の診断・治療をサポートする重要な役割を担います。
日本補綴歯科学会認定 補綴歯科専門医
補綴(ほてつ)歯科専門医は、失われた歯や顎の機能を回復させるための、入れ歯、クラウン、ブリッジ、インプラントなどの補綴装置を用いた治療を専門とします。
この資格は、2023年10月に広告可能資格として追加されました。
噛み合わせや審美性を考慮した精密な補綴治療を行うため、最低5年以上の研修と多くの症例報告が必要です。



入れ歯が合わなくて困っているんだけど、専門医ならうまく作ってくれますか?



補綴歯科専門医は、精密な型取りや噛み合わせ調整で、快適な入れ歯を提供します
高度な知識と技術に基づき、機能性と審美性を両立させた質の高い補綴治療を提供します。
日本矯正歯科学会認定 矯正歯科専門医
矯正歯科専門医は、歯並びや噛み合わせの問題(不正咬合)を診断し、矯正装置を用いて治療することを専門とします。
この資格は、2024年9月に広告可能資格として追加されました。
矯正治療には長期的な管理が必要であり、5年以上の専門研修と認定試験を経て、豊富な治療経験を持つ歯科医師が認定されます。



目立たない矯正装置で治療したいんだけど、可能ですか?



マウスピース型矯正装置など、目立ちにくい治療法の選択肢も提案できます
子どもから大人まで、個々の患者さんに合わせた最適な矯正治療計画を立案し、機能的で美しい口元を実現します。
日本歯科保存学会認定 歯科保存専門医
歯科保存専門医は、虫歯や歯の根の病気(根管治療)、歯周病などによってダメージを受けた歯を、できる限り抜かずに保存するための治療を専門とします。
この資格は、2024年9月に広告可能資格として追加された新しい専門医資格です。
高度な技術が要求される精密な根管治療や、歯周組織再生療法などを行い、自身の歯を1本でも多く残すことを目指します。



他の歯医者で抜くしかないと言われた歯も、残せる可能性はありますか?



歯科保存専門医は、精密な診断と治療で歯を残せる可能性を探ります
天然歯の価値を最大限に尊重し、歯の寿命を延ばすための高度な保存治療を提供します。
専門医資格を広告する際の必須ルールと禁止事項


専門医資格を広告で表示する際は、医療広告ガイドラインで定められたルールを厳守することが何よりも重要です。
ここでは、専門医資格の正しい表示方法や避けるべき広告表現、患者さんの体験談や治療前後の写真に関する注意点、そして専門医以外の資格の扱いについて詳しく解説します。
ルールを正しく理解し、適切に情報を発信することで、患者さんからの信頼を得ることに繋がります。
ルール違反は、患者さんの誤解を招くだけでなく、行政指導や罰則の対象となる可能性もあるため、細心の注意が必要です。
専門医資格の正しい表示方法 認定団体名と資格名の併記義務
専門医資格を広告に記載する際には、必ず認定を受けた学会などの団体名と専門医資格の名称を併記しなければなりません。
これは、どの団体によって認定された専門性なのかを患者さんが明確に識別できるようにするための重要なルールです。
例えば、「日本口腔外科学会認定 口腔外科専門医」という表記は認められていますが、「口腔外科専門医」という資格名だけの表記は認められていません。
正しい表示例 | 誤った表示例 |
---|---|
日本歯周病学会認定 歯周病専門医 | 歯周病専門医 |
日本矯正歯科学会認定 矯正歯科専門医 | 矯正歯科専門医 |



専門医であることはアピールしたいけど、表示方法を間違えたくないです…



はい、必ず「〇〇学会認定 △△専門医」のように、認定団体名と資格名をセットで記載してください
このルールを守らない場合、医療広告ガイドライン違反とみなされる可能性がありますので、ウェブサイトやパンフレット、看板など、すべての広告媒体で表記を確認することが大切です。
避けるべき広告表現 比較優良広告や誇大広告の具体例
医療広告では、患者さんの誤解を招く可能性のある表現は厳しく制限されており、特に比較優良広告と誇大広告は明確に禁止されています。
比較優良広告とは、「地域No.1の治療実績」「〇〇歯科よりも優れた技術」のように、客観的な根拠なく他の医療機関と比較して自院が優れているかのように示す表現です。
誇大広告は、「絶対に痛くない治療」「どんな難症例も100%成功」など、治療の効果や安全性を事実以上に良く見せたり、不確実な事柄を断定的に伝えたりする表現を指します。
広告で避けるべき表現の例 |
---|
比較優良広告 |
日本一の実績 |
地域で最も選ばれている |
他院ではできない治療 |
誇大広告 |
絶対に安全なインプラント |
治療すれば必ず治る |
最高の医療技術 |



「腕には自信がある!」と伝えたいのですが、どう表現すれば良いでしょうか?



客観的な事実に基づき、専門医資格や導入設備などを具体的に記載するのは問題ありませんが、他院との比較や大げさな表現は避けましょう
これらの表現は、患者さんが冷静な判断を下す妨げとなり、不適切な医療選択を誘引する可能性があるため、絶対に使用してはいけません。
客観的な事実に基づいた、誠実な情報提供を心がけることが求められます。
患者体験談や治療前後の写真に関する注意点
患者さんの治療体験談や、治療効果を示すための治療前後の写真(ビフォーアフター写真)の掲載は、医療広告ガイドラインにおいて原則として禁止されています。
体験談は個人の感想であり、他の患者さんにも同様の効果があることを保証するものではないためです。
また、治療前後の写真は、撮影条件や加工によって効果を過剰に見せたり、誤解を与えたりする可能性があるため、規制の対象となっています。
ただし、ウェブサイトなど特定の条件下では、「限定解除」の要件を満たすことで掲載が可能になる場合があります。
種類 | 原則 | 限定解除で可能になる場合の主な要件例 |
---|---|---|
患者さんの治療体験談 | 禁止 | 患者自身の求めに応じて提供されるウェブサイトなど(要件あり) |
治療前後の写真・イラスト | 禁止 | 通常必要とされる治療内容、費用、副作用・リスク等の明記 |



治療に満足された患者さんの声を載せたいのですが、ダメなのですか?



個人の感想である体験談の掲載は、医療広告ガイドラインで原則禁止されています。限定解除の要件を満たす必要があります
限定解除の要件は詳細に定められており、安易な掲載はガイドライン違反となるリスクが高いです。
体験談や写真の掲載を検討する場合は、厚生労働省の示すガイドラインやQ&Aを熟読し、要件を確実に満たしているか慎重に確認する必要があります。
専門医以外の認定医や指導医の広告表示
医療広告ガイドラインで広告可能とされているのは、厚生労働省に届け出を行い、認められた特定の8つの歯科専門医資格のみです(2024年9月時点)。
各学会などが独自に設けている「認定医」「指導医」「専門医」といった資格は、たとえその分野で高い知識や技術を持つことを示すものであっても、現在のルールでは広告に標榜することはできません。
これらの資格は、医療広告ガイドラインにおける「広告可能な専門医資格」の定義には含まれないためです。
資格の種類 | 広告での表示可否 | 備考 |
---|---|---|
広告可能な専門医資格 (8種類) | 可能 | 「団体名+資格名」の併記が必須 |
各学会等が認定する「認定医」 | 不可 | 医療広告ガイドラインで認められていない |
各学会等が認定する「指導医」 | 不可 | 医療広告ガイドラインで認められていない |
学会独自の「〇〇専門医」(広告可能8資格以外) | 不可 | 厚生労働省に届出・受理された専門医資格ではない |
所属学会名、研修歴、学位 | 一部可能 | 経歴としての記載は限定解除下で可能な場合があるが、「専門医」とは異なる |



専門医ではないけれど、学会の認定医資格を持っている場合はどうすれば?



残念ながら、現行のガイドラインでは、認定医や指導医の資格を広告でうたうことは認められていません
ウェブサイトなどで、限定解除の要件を満たした上で経歴の一部として記載することは可能な場合がありますが、広告としてこれらの資格名を前面に出すことはできません。
広告可能な専門医資格と、そうでない資格を明確に区別し、ガイドラインを遵守することが不可欠です。
専門医資格の広告表示に関する補足知識と今後の展望


専門医資格の情報は、患者さんが自分に合った歯科医師を見つけるための重要な手がかりとなります。
そのため、広告に関するルールだけでなく、患者さんにとってのメリットや今後の動向を理解しておくことは、医院運営においても大切です。
この見出しでは、患者さん側の視点、ウェブサイトでの情報提供に関する「限定解除」のルール、そして今後検討されている専門医領域や将来的な見通しについて詳しく見ていきましょう。
これらの知識は、適切な情報発信と患者さんとの信頼関係構築に役立ちます。
患者にとっての専門医情報のメリット
専門医資格の情報が公開されることは、患者さんが質の高い歯科医療を選択する上で大きな助けとなります。
特定の分野において高度な知識や技術を持つ専門医がいることを知ることで、より安心して治療を任せられる歯科医師を見つけやすくなるからです。
例えば、複雑な親知らずの抜歯が必要な場合、「口腔外科専門医」がいると分かれば、専門的な処置を期待してその歯科医院を選ぶことができます。
同様に、重度の歯周病で悩んでいる方は「歯周病専門医」、精密な根管治療が必要な方は「歯科保存専門医」といったように、自身の症状や希望に合わせて歯科医師を選びやすくなります。
患者にとっての主なメリット |
---|
自身の症状に適した専門家を見つけやすい |
高度な知識や技術を持つ医師を選べる |
治療に対する安心感が高まる |
治療の選択肢が広がる |



専門医がたくさんいるけど、具体的に何が違うのですか?



専門医は、特定の歯科分野において、学会などが定めた厳しい基準をクリアし、高度な知識と技術、豊富な経験を持っていると認定された歯科医師のことです
専門医資格の情報が広告を通じて分かりやすく提供されることは、患者さんが主体的に医療に参加し、納得のいく治療を選択するために不可欠な要素といえます。
ウェブサイトにおける詳細情報提供のための「限定解除」要件
医療広告ガイドラインでは、ウェブサイトは原則として広告とみなされますが、特定の条件を満たすことで、通常は広告できない情報も掲載できる「限定解除」という仕組みがあります。
これは、患者さんが自ら情報を求めてアクセスするウェブサイトの特性を考慮したものです。
限定解除が認められるためには、主に以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。
これらの要件を満たせば、例えば治療方法の詳細や、通常は広告が制限される自由診療に関する情報なども、ウェブサイトに掲載することが可能となります。
限定解除の主な要件 | 具体的な内容例 |
---|---|
医療に関する適切な情報提供 | 電話やメールでの問い合わせ先(連絡先、対応時間など)の明記 |
患者等が自ら求めて入手する情報 | 検索結果やリンクから自発的にアクセスするウェブサイトなどが対象 |
自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等 | 標準的な治療内容、治療期間、回数、一般的な費用、主なリスク・副作用などの明記 |
自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等 | 治療に伴う可能性のあるリスクや副作用について、分かりやすい説明 |



ウェブサイトなら詳しい情報を載せても大丈夫だと思っていたけど、条件があるんですね



はい、患者さんが正しい情報を得られるように、ウェブサイトであっても情報提供にはルールが定められています。限定解除の要件をしっかり確認しましょう
ウェブサイトで医院の特色や専門性を詳しく伝えたい場合は、この限定解除の要件を正しく理解し、必要な情報を漏れなく記載することが重要です。
現在検討中の専門医領域 インプラント歯科・総合歯科
現在、広告可能な歯科専門医資格は8分野ですが、将来的にはさらに増える可能性があります。
歯科医療の進歩や社会のニーズに合わせて、新たな専門医制度の設立や、既存制度の見直しが継続的に行われているからです。
厚生労働省や日本歯科専門医機構(JDSB)では、「インプラント歯科」や「総合歯科(General Dentistry)」といった領域について、専門医制度のあり方や広告の可否について検討が進められています。
これらの分野は、多くの患者さんにとって関心が高く、専門性を求める声も少なくありません。
現在検討が進められている専門医領域 |
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インプラント歯科 |
総合歯科 |



インプラント治療に力を入れているから、専門医として広告できるようになると嬉しいです



今後の動向に注目ですね。正式に認定され広告可能になれば、先生の専門性をより患者さんにアピールしやすくなります
これらの領域が将来的に広告可能な専門医資格として追加されれば、患者さんはより専門性の高い歯科医師を探しやすくなり、歯科医院側も自院の強みを明確に打ち出すことができるようになります。
今後の専門医制度と広告ルールの見通し
歯科の専門医制度や、それに伴う広告のルールは、一度決まったら終わりではなく、今後も変化していくと考えられます。
医療技術は日々進歩しており、社会が求める歯科医療のあり方も変化していくため、制度やルールもそれに合わせて見直される必要があるからです。
例えば、新しい治療法が確立されたり、特定の分野における専門性の重要度が高まったりすれば、新たな専門医分野が追加されたり、既存の専門医の基準が見直されたりする可能性があります。
それに伴い、広告に関するガイドラインも改定されることが予想されます。
2023年の「補綴歯科専門医」、2024年の「矯正歯科専門医」「歯科保存専門医」の追加が、まさにその具体例です。



ルールが変わるたびに確認するのは大変だけど、しっかり対応しないといけないですね



そうですね。厚生労働省や関連学会のウェブサイトなどで、常に最新の情報を確認する習慣をつけておくことが大切です
歯科医師や歯科医院の経営者は、専門医制度や医療広告ガイドラインに関する最新の動向を常に把握し、変化に適切に対応していく姿勢が求められます。
これにより、法令を遵守しつつ、患者さんに正確で有益な情報を提供し続けることができます。
よくある質問(FAQ)
- 歯科の専門医資格について、学会認定の「認定医」や「指導医」は広告できますか?
-
いいえ、現在の医療広告ガイドラインでは、厚生労働省に届け出があり広告可能と認められた特定の8つの「専門医」資格のみ広告が可能です。
各学会が独自に認定している「認定医」や「指導医」、あるいは広告可能とされていない分野の「専門医」資格は、残念ながら現時点では広告でうたうことはできません。
資格を持っていること自体を経歴としてウェブサイトなどに記載する場合は、「限定解除」の要件を満たす必要があり、広告としての専門医の標榜とは区別されます。
- 患者さんの感謝の声(口コミや体験談)をウェブサイトに載せるのは禁止ですか?
-
はい、患者さん個人の感想である体験談や口コミをそのままウェブサイトなどの広告に掲載することは、原則として禁止されています。
これは、他の患者さんにも同じ効果があるとは限らず、誤解を招く可能性があるためです。
ただし、「限定解除」の要件(問い合わせ先の明記、自由診療の場合は費用やリスクの明記など)をすべて満たせば、ウェブサイトでの掲載が可能になる場合があります。
しかし、要件は厳格ですので、掲載には慎重な判断が求められます。
- インプラント治療に関する専門性は、広告でどのようにアピールすれば良いですか?
-
現状、「インプラント歯科」は広告可能な専門医資格としては認められていません。
そのため、「インプラント専門医」と広告で表示することはできません。
しかし、インプラント 広告 規制の範囲内で、治療実績(客観的なデータに基づくもの)や導入している設備、研修の受講歴などを、ウェブサイト上で「限定解除」の要件を満たした上で経歴として紹介することは可能です。
ただし、誇大広告や比較優良広告にならないよう注意点を守る必要があります。
- 現在、広告可能な歯科専門医資格は8つですが、今後増える可能性はありますか?
-
はい、その可能性はあります。
歯科医療の進歩や社会的なニーズの変化に応じて、歯科 専門医制度は見直されることがあります。
実際に、2023年には「補綴歯科専門医」、2024年には「矯正歯科専門医」と「歯科保存専門医」が広告可能な資格として追加されました。
現在も「インプラント歯科」や「総合歯科」などの領域で専門医制度の検討が進められており、将来的に広告可能な資格として歯科の専門医の一覧に追加されることが期待されます。
- もし医療広告ガイドラインのルールに違反してしまった場合、どうなりますか?
-
医療広告ガイドラインに定められたルール、例えば広告 禁止事項を守らなかったり、歯科 広告 表現に問題があったりした場合、歯科 広告 違反とみなされ、行政指導(例: 中止命令や是正命令)が入る可能性があります。
悪質なケースや指導に従わない場合は、罰則(懲役や罰金)が科されることもあります。
信頼を損なわないためにも、歯科 広告の規制を正しく理解し、遵守することが非常に重要です。
- 医療広告ガイドラインの内容について、不明点を確認したり相談したりできる場所はありますか?
-
はい、医療広告ガイドラインに関する疑問や具体的な広告表現について相談したい場合は、まず厚生労働省が公表しているガイドライン本文やQ&Aを確認することをおすすめします。
それでも不明な点があれば、管轄の保健所や地方厚生局、あるいは医療広告に詳しい弁護士やコンサルタントといった専門家へ医療広告 相談を行うのが良いでしょう。
各都道府県の歯科医師会などでも相談窓口を設けている場合があります。
まとめ
この記事では、歯科医院が広告で表示できる専門医資格について解説しました。
2024年9月時点で、矯正歯科や歯科保存を含め、広告可能な専門医資格は8種類です。
- 現在広告できる専門医資格は8種類
- 広告表示は「認定団体名+資格名」の併記が必要
- 認定医や患者体験談は広告に記載できない
- 最新の医療広告ガイドライン遵守の重要性
正しいルールを理解し、患者さんに専門性を適切に伝えることが、信頼される医院づくりにつながります。



