歯科医師や歯科医院で働く方々にとって、歯科医師国保はご自身の医療保障を考える上で重要な選択肢の一つとなります。
この制度は、一般的な健康保険とは異なる特徴を持つため、仕組みや加入条件、保険料、メリット・デメリットなどを正しく理解することが大切です。

うちのスタッフや家族も加入できるのかな?保険料負担や他の保険との違いも詳しく知りたいです



歯科医師国保の仕組みからメリット・デメリット、手続きまで丁寧に解説します
- 歯科医師国保がどんな制度か、誰が加入できるか
- 保険料の決まり方と他の保険との違い
- 加入するメリット・デメリット、注意すべき点
- 病気やケガの際の給付内容と手続き
歯科医師国保の制度概要と加入検討時の重要点


この見出しのポイント
歯科医師国保は、歯科医師やその医院で働くスタッフ、そして家族のための特別な医療保険制度です。
一般的な国民健康保険や協会けんぽとは異なる特徴を持つため、加入を検討する際には、その仕組みを正しく理解しておくことが重要です。
この見出しでは、制度の目的と位置づけから始まり、運営主体となる主な組合、対象となる歯科医院のスタッフ、そして組合員の区分について解説します。
これらの基本情報を押さえることで、歯科医師国保がどのような制度なのか、全体像を掴むことができるでしょう。
ご自身の状況に合わせて最適な選択をするための第一歩となります。
制度の目的と位置づけ
歯科医師国保は、国民健康保険法に基づき設立された同業者組合です。
つまり、同じ歯科医療という事業や業務に従事する人々で組織された、公的な法人格を持つ健康保険組合を指します。
この制度の主な目的は、歯科医師をはじめとする歯科医療従事者の生活の安定と福祉の向上を図ることにあります。
国や都道府県の指導監督のもと、組合員とその家族の健康を守るための各種保険給付事業を行っています。



普通の国保と何が違うのでしょうか?



一般的な国保とは異なり、歯科医療に関わる人のための専門的な保険組合です
歯科医師国保は、その成り立ちからして、歯科業界に特化した医療保険制度として位置づけられています。
運営主体となる主な組合
歯科医師国保の運営は、地域ごとに設立された歯科医師国民健康保険組合が担っています。
そのため、お住まいの地域や所属する歯科医師会によって、加入できる組合が異なります。
代表的な組合としては、全国規模で運営されている「全国歯科医師国民健康保険組合」があり、東京事務所と全国20ヶ所の支部を持ち、61,635人(令和5年3月末時点)が加入する大きな組織です。
また、各都道府県にも独自の組合が存在します(例:「神奈川県歯科医師国民健康保険組合」、「大阪府歯科医師国民健康保険組合」など)。
組合名 | 主な特徴 | 備考 |
---|---|---|
全国歯科医師国民健康保険組合 | 全国規模で運営、支部多数 | 東京都など、独自の組合がない地域の歯科医師会が加入 |
都道府県単位の歯科医師国民健康保険組合 | 各都道府県の歯科医師会会員とその従業員、家族が対象 | 神奈川県、大阪府、愛知県など多数存在 |
地域ブロック単位の組合 | 特定の地域ブロックをカバー(例:中国四国歯科医師国民健康保険組合) | 対象地域内の歯科医師会会員などが対象 |
ご自身の歯科医院がある地域、または所属する歯科医師会がどの組合の管轄区域に含まれるかを確認することが、加入手続きの最初のステップとなります。
対象となる歯科医院のスタッフ
歯科医師国保に加入できるのは、歯科医師だけではありません。
その歯科医師が開設または管理する歯科医院で働く様々な職種のスタッフとその家族も対象となります。
具体的には、歯科衛生士、歯科技工士、歯科助手、受付事務など、歯科医院の運営に携わる従業員が広く含まれます。
全国歯科医師国民健康保険組合のデータによると、被保険者全体の約44%は歯科衛生士や歯科助手などの従業員とその家族で構成されており、多くのスタッフがこの制度を利用していることがわかります。



うちのスタッフも全員入れるのでしょうか?



はい、歯科医師だけでなく、衛生士さんや助手さん、受付の方も加入対象ですよ
従業員の福利厚生を考える上で、歯科医師国保への加入は有効な選択肢の一つとなり得ます。
組合員の区分(第1種・第2種・家族など)
歯科医師国保では、加入する人の立場や職種によって組合員の区分が設けられています。
最も一般的なのは、第1種組合員と第2種組合員という区分です。
具体的には、以下のように分類されることが多いです。
区分 | 対象者例 | 呼称例 |
---|---|---|
第1種組合員 | 歯科医師国民健康保険組合が設立されている地域の歯科医師会会員である歯科医師(主に開業医) | 正組合員、甲種組合員 |
第2種組合員 | 第1種組合員の歯科医院に勤務する従業員(勤務医、歯科衛生士、歯科技工士、歯科助手、受付など) | 準組合員、乙種組合員 |
家族 | 第1種組合員または第2種組合員と生計を同一にする家族 | 家族組合員 |
その他の区分 | 一部の組合では、上記以外の区分(例:第3種組合員)を設けている場合あり(例:宮城県歯科医師国民健康保険組合の、県外歯科医師会会員で県内在住の歯科医師) | – |
ただし、組合によって組合員の名称(例:「甲種組合員」「乙種組合員」)や、区分の詳細(例:第2種組合員をさらに勤務医とそれ以外に分けるなど)が異なる場合があります。
この組合員の区分は、後述する保険料の金額などにも関わってくるため、加入を検討する組合の規約をよく確認することが大切です。
歯科医師国保の加入対象者と資格要件


歯科医師国保に加入するためには、満たすべき資格要件があります。
誰が、どのような条件で加入できるのかを正確に把握することが、制度利用の第一歩となります。
ここでは、基本的な加入資格にはじまり、歯科衛生士や歯科技工士といった従業員の加入条件、家族が加入する場合の詳細、そして法人や従業員5人以上の事業所における注意点(適用除外承認)、最後に後期高齢者医療制度への移行について、順を追って解説します。
ご自身や医院のスタッフ、ご家族が対象となるか、一つずつ確認していきましょう。
基本的な加入資格(歯科医師会所属など)
歯科医師国保に加入するための最も基本的な条件は、歯科医師であること、そして多くの場合、その地域の歯科医師会に所属していることです。
具体的には、各都道府県などの区域に住所を有し、その地域の歯科医師会の会員である歯科医師(組合によっては第1種組合員などと呼ばれます)が主な対象となります。
組合によっては、単に歯科医師免許を持っているだけではなく、その組合が指定する地域で歯科医業に従事していることや、住民票があることなどが条件として付加される場合があります。
加入資格のポイント | 内容 |
---|---|
対象者 | 歯科医師 |
所属要件 | 所在地の歯科医師会会員(多くの組合で必要) |
地域要件 | 組合の定める区域内での居住・診療(組合により異なる) |
その他 | 各組合の規約に定められた要件 |



自分が加入できるかは大丈夫だと思うけど、基本的な条件って組合によって違うのですか?



基本的な条件は似ていますが、お住まいの地域や所属する組合によって細かな要件が異なる場合があります。
ご自身の状況が加入資格を満たすか、まずは所属する(または所属予定の)歯科医師会が管轄する歯科医師国保組合の規約を確認することが重要です。
歯科衛生士や歯科技工士などの従業員の加入
歯科医師国保は、院長である歯科医師だけでなく、その歯科医院で働く従業員も加入対象としています。
院長(第1種組合員など)が開設・管理する歯科診療所や病院に勤務する、歯科衛生士、歯科技工士、歯科助手、受付・事務スタッフなど、歯科医療業務に従事する方が広く対象となります(組合によっては第2種組合員、第3種組合員などと呼ばれます)。
全国歯科医師国民健康保険組合の例を見ると、令和4年度末時点で、被保険者のうち約44%が従業員(第3種組合員:衛生士、歯科技工士、助手、事務員等)であり、多くの従業員がこの制度を利用していることがわかります。
加入対象となる従業員の例 |
---|
歯科衛生士 |
歯科技工士 |
歯科助手 |
受付・事務スタッフ |
その他(組合規約による) |



うちのスタッフ(衛生士や助手)も全員、歯科医師国保に入れるんだよね?



はい、院長先生が歯科医師国保に加入していれば、原則として従業員の方も加入できます。
従業員の福利厚生を考える上で、歯科医師国保への加入は選択肢の一つとなります。
従業員の加入可否や手続きについても、組合に確認するとよいでしょう。
家族の加入条件詳細
歯科医師国保には、組合員である歯科医師や従業員だけでなく、その家族も加入できます。
ただし、一般的な健康保険の「扶養」とは異なり、家族一人ひとりも被保険者として加入し、個別に保険料が発生する点が大きな特徴です。
加入できる家族の範囲は、組合員(第1種・第2種など)と同一世帯に属し、主としてその組合員の収入により生計を維持されている方が基本となります。
具体的には、組合員の配偶者(内縁関係含む)、子、父母、孫、兄弟姉妹などが該当しますが、どの範囲までが対象となるか、また「同一世帯」や「生計維持」の具体的な定義は組合によって異なる場合があります。
全国歯科医師国民健康保険組合では、家族が被保険者全体の約37%を占めています。
家族の主な加入条件 | 内容 |
---|---|
組合員との関係 | 配偶者、子、父母、孫、兄弟姉妹など(組合により範囲指定あり) |
居住要件 | 同一世帯(同居)が基本(組合により例外規定あり) |
生計維持要件 | 主として組合員の収入により生計を維持 |
後期高齢者医療制度 | 75歳以上は対象外 |
その他 | 各組合の規約に定められた要件 |



妻も歯科衛生士として働いているけど、子供たちも含めて家族全員の加入条件はどうなるのですか?



組合員である先生や奥様と生計を同一にしているお子様は基本的に加入できますが、詳細な条件は組合にご確認ください。
家族構成や収入状況によって加入条件や保険料が変わるため、ご家族の加入を検討する際は、該当する組合の規約を詳しく確認することが大切です。
また、お子様の就職や結婚などで条件から外れた場合には、資格喪失の手続きが必要となります。
法人・従業員5人以上の場合の適用除外承認
歯科医院が法人である場合、または個人事業所であっても常時5人以上の従業員を雇用している場合は、注意が必要です。
健康保険法により、これらの事業所は原則として健康保険(協会けんぽ等)および厚生年金保険の強制適用事業所となるためです。
しかし、すでに歯科医師国保に加入している事業所や、これから加入したい事業所は、「健康保険適用除外承認申請」という手続きを厚生労働大臣(実務上は管轄の年金事務所)に行い、承認を受けることで、健康保険の適用を受けずに歯科医師国保に加入し続ける(または新規加入する)ことができます。
この承認を得るためには、その事業所で働く従業員の半数以上の同意が必要となります。
適用除外承認について | 内容 |
---|---|
対象事業所 | 法人、常時従業員5人以上の個人事業所 |
原則 | 健康保険(協会けんぽ等)の強制適用事業所 |
歯科医師国保加入希望時 | 健康保険適用除外の承認を受ける必要がある |
承認要件 | 従業員の半数以上の同意、年金事務所への申請と承認 |
承認後の状態 | 健康保険の適用が除外され、歯科医師国保への加入(継続)が可能 |



うちは従業員が6人いるから、本当は協会けんぽに入らないといけないのでしょうか?



はい、原則そうなります。歯科医師国保を継続するには『適用除外承認』の手続きが必要です
法人成りや従業員の増員によって適用事業所に該当する可能性がある場合は、この適用除外承認の手続きについて、事前に組合や社会保険労務士などの専門家へ相談することをおすすめします。
後期高齢者医療制度への移行について
年齢を重ねると、加入する医療保険制度が変わります。
歯科医師国保の組合員やその家族も、満75歳になると、それまで加入していた歯科医師国保の資格を喪失し、「後期高齢者医療制度」へ移行します。
これは法律で定められた制度であり、75歳の誕生日当日から自動的に適用されます。
そのため、歯科医師国保の保険証は75歳の誕生日の前日までしか使用できなくなります。
ただし、組合によっては、後期高齢者医療制度へ移行した後も、引き続き組合に籍を置き(例:後期高齢者組合員)、組合独自の保健事業(人間ドックの補助など)を利用できる場合があります。
75歳到達時の変更点 | 内容 |
---|---|
移行先制度 | 後期高齢者医療制度 |
歯科医師国保の資格 | 原則として喪失(75歳の誕生日の前日まで有効) |
組合員資格(組合による) | 後期高齢者組合員などとして継続できる場合あり |
利用できる保健事業(組合による) | 組合独自の給付や補助を受けられる場合あり |



自分が75歳になったら、歯科医師国保はどうなりますか?



75歳になると後期高齢者医療制度に移りますが、組合によっては資格継続の制度もあります
ご自身やご家族、従業員の中に75歳に近い方がいる場合は、後期高齢者医療制度への移行に伴う手続きや、移行後の組合との関わりについて、早めに組合へ確認しておくと安心です。
歯科医師国保の保険料体系 – 定額制と内訳


歯科医師国保の保険料を理解する上で、最も重要な特徴は、多くの場合「定額制」を採用している点です。
収入の変動に左右されにくいこの仕組みは、社会保険など他の保険制度とは大きく異なります。
ここでは、保険料の定額制とその影響、社会保険とは異なる扶養の考え方、保険料が何から成り立っているかの内訳、加入する組合による保険料の違いと具体的な例、そして保険料シミュレーションの活用方法について、順を追って詳しく見ていきましょう。
組合名 | 第1種組合員(例:開業医など) | 第2種組合員(例:歯科医師以外) | 家族(例) | 備考(月額・令和6年度) |
---|---|---|---|---|
北海道歯科医師国民健康保険組合 | 27,100円~65,500円(所得割+均等割)+ 介護保険料(該当者) | 32,900円 + 介護保険料(該当者) | 17,600円 + 介護保険料(該当者) | 後期高齢者支援金分を含む |
宮城県歯科医師国民健康保険組合 | 34,100円 + 介護保険料(該当者) | 16,800円 + 介護保険料(該当者) | 9,600円 + 介護保険料(該当者) | 後期高齢者支援金分を含む |
埼玉県歯科医師国民健康保険組合 | 18,200円+収入割(上限あり)+ 介護保険料(該当者) | 18,100円 + 介護保険料(該当者) | 12,800円 + 介護保険料(該当者) | 後期高齢者支援金分を含む |
これらの情報を把握することで、ご自身の医院の状況やご家族構成に合わせた保険料負担を具体的にイメージできます。
保険料の定額制とその影響
歯科医師国保の保険料は、多くの組合で収入に関わらず一定額となる「定額制」を採用している点が大きな特徴です。
これは、個人の所得や医院の収益が増えても、毎月支払う保険料は基本的に変わらないことを意味します。
収入が増加しても保険料負担が増えないというメリットがある一方で、収入が少ない時期には負担が相対的に重く感じられる可能性も考慮する必要があります。



収入が増えても保険料が変わらないのは、経営が軌道に乗ればメリットが大きいですね



はい、特に収入が安定している方や今後増加が見込まれる方にとっては有利な仕組みと言えます
また、社会保険(協会けんぽなど)では賞与(ボーナス)からも保険料が徴収されますが、歯科医師国保では賞与に対する保険料がかからない点も、従業員の手取り額や医院側の負担を考える上で重要なポイントになります。
扶養概念がなく家族分の保険料が必要な点
社会保険(協会けんぽなど)や一部の国民健康保険組合とは異なり、歯科医師国保には「扶養」という考え方がありません。
これは、院長先生ご本人だけでなく、加入する配偶者やお子様など、ご家族一人ひとりに対して個別に保険料が発生することを意味します。
例えば、ご夫婦とお子様2人の4人家族で歯科医師国保に加入する場合、家族4人分の保険料を合算して支払う必要があります。



家族が多いと、保険料の総額は社会保険に比べて高くなる可能性もあるということですね



おっしゃる通りです。ご家族の人数や年齢構成によっては、社会保険の方が有利になるケースも考えられます
そのため、歯科医師国保への加入を検討する際には、ご家族全員分の保険料を計算し、年間の総額負担を事前に把握しておくことが大切です。
保険料の内訳(医療・支援金・介護)
毎月支払う歯科医師国保の保険料は、単一のものではなく、いくつかの項目によって構成されています。
具体的には、病気やケガをした際の医療給付の財源となる「医療保険料」、後期高齢者医療制度(75歳以上の方が加入)を社会全体で支えるための「後期高齢者支援金」、そして40歳から64歳までの方が加入する介護保険制度の財源となる「介護保険料」の3つの要素で成り立っているのが一般的です。
保険料の種類 | 内容 | 対象者 |
---|---|---|
医療保険料 | 医療給付(治療費など)の基本的な財源 | 全加入者 |
後期高齢者支援金 | 後期高齢者医療制度を支えるための負担金 | 全加入者 |
介護保険料 | 介護サービスなどの介護保険制度を支えるための保険料 | 40歳以上64歳以下の加入者 |



自分が40歳になったら、この介護保険料も追加で支払うことになるんですね



はい、その通りです。40歳の誕生日を迎える月(正確には誕生日の前日が属する月)から、介護保険第2号被保険者として介護保険料の納付義務が生じます
これらの内訳を知ることで、ご自身が支払っている保険料が、どのような医療・介護制度を支えるために使われているのかを理解できます。
組合による保険料の違いと具体例
歯科医師国保の保険料は、全国一律ではなく、加入する組合によって金額設定が異なります。
これは、各都道府県の歯科医師国保組合などが、それぞれの地域の医療費水準や加入者の年齢構成、財政状況などを考慮して、独自に保険料率や金額を定めているためです。
また、同じ組合内であっても、組合員の種別(例えば、開業医である第1種組合員、勤務医や歯科衛生士・歯科技工士などの第2種組合員、家族など)によって保険料額が異なるのが一般的です。



ということは、引っ越しなどで所属する組合が変わると、保険料も変わる可能性があるんですね



はい、その可能性があります。加入を検討されている組合や、現在加入中の組合の最新の保険料については、各組合のウェブサイトやパンフレットなどで確認することが重要です
例えば、先に示した表のように、北海道、宮城、埼玉県の組合でも、種別や家族の保険料に違いが見られます。
ご自身の地域の組合の具体的な保険料を確認し、比較検討することが重要です。
保険料シミュレーションの利用
ご自身の状況に合わせて月々や年間の保険料が具体的にいくらになるのかを知りたい場合、保険料シミュレーションの利用が便利です。
いくつかの歯科医師国保組合では、公式ウェブサイト上で簡単な情報を入力するだけで、保険料の概算額を試算できるシミュレーションツールを提供しています。
例えば、愛知県歯科医師国民健康保険組合や神奈川県歯科医師国民健康保険組合などが、オンラインでシミュレーションを提供しています(提供状況は変更される可能性があります)。



シミュレーションを使えば、スタッフや家族構成を入力して、医院全体の保険料負担も計算できそうですね



はい、組合員の種別、年齢、家族構成などを入力することで、より実態に近い保険料負担額を把握するのに役立ちます
歯科医師国保への新規加入を検討する際や、現在加入中の国民健康保険、あるいは協会けんぽなどの社会保険と比較検討する際に、このようなシミュレーションを活用することをおすすめします。
歯科医師国保加入の利点・欠点と他保険との比較


この見出しのポイント
歯科医師国保への加入を検討する際には、メリットとデメリットの両方を理解し、他の保険制度と比較することが重要です。
加入による主な利点や考慮すべき欠点を把握し、市町村国民健康保険や協会けんぽ(社会保険)との違いを明確にすることで、ご自身や医院にとって最適な選択ができます。
それぞれの保険制度の特徴を理解し、ご自身の状況に合わせて慎重に判断しましょう。
加入する上での主な利点
歯科医師国保に加入する大きな利点は、従業員の保険料が収入に関わらず一定額であることです。
これにより、医院側は従業員の給与が増えても社会保険料のように負担が増える心配がなく、保険料計算がしやすいというメリットがあります。
さらに、社会保険とは異なり、賞与(ボーナス)に対して保険料がかからない点も経営者にとっては魅力的なポイントといえます。
利点 | 詳細 |
---|---|
保険料の一律性(従業員) | 収入に関わらず保険料が一定で、医院側の負担計算が容易 |
賞与に対する保険料なし | 賞与(ボーナス)支払い時の保険料負担が発生しない |
充実した福利厚生(組合による) | 健康診断の補助、人間ドック、保養施設の割引利用などが提供される場合がある |



従業員の給料が上がっても、医院の保険料負担が増えないのは助かりますね



はい、特にスタッフの昇給を考える際に、保険料負担の増加を抑えられるのは大きなメリットです
加えて、組合によっては独自の福利厚生が充実しており、健康診断の補助や保養施設の利用などが可能な場合もあります。
考慮すべき主な欠点
一方で、歯科医師国保には「扶養」という概念がない点が大きな特徴であり、考慮すべき欠点となります。
これは、加入する家族一人ひとりに対して保険料が発生することを意味します。
そのため、扶養家族が多い場合は、国民健康保険や協会けんぽと比較して、世帯全体の保険料負担が大きくなる可能性があります。
例えば、4人家族の場合、4人分の保険料が必要となります。
欠点 | 詳細 |
---|---|
扶養概念がない | 家族一人ひとりに対して保険料が発生し、家族が多いと負担が増える可能性がある |
保険料の自己負担割合 | 医院が全額負担、一部負担、または従業員が全額自己負担など、医院によって異なる |
任意給付の差異(傷病手当金など) | 組合によって傷病手当金や出産手当金がない、または内容が協会けんぽより劣る場合がある |
法人・従業員5人以上の制限 | 原則として社会保険への加入義務があり、歯科医師国保継続には適用除外承認が必要 |



家族が多いと、かえって保険料が高くなることもあるのですね…



その通りです。特にご家族が増える予定がある場合は、将来的な負担も考慮する必要があります
また、組合によっては協会けんぽで保障されている傷病手当金や出産手当金がない、あるいは内容が手薄な場合もあるため、加入前に給付内容を確認することが重要です。
市町村国民健康保険との相違点
歯科医師国保と多くの自営業者や退職者が加入する市町村国民健康保険(市町村国保)では、いくつかの重要な違いがあります。
最も大きな違いは保険料の算定方法です。
市町村国保の保険料は前年の所得に応じて変動する「所得割」がありますが、歯科医師国保(従業員の場合)は原則として所得に関わらず定額です。
比較項目 | 歯科医師国保 | 市町村国民健康保険 |
---|---|---|
運営主体 | 歯科医師国保組合 | 市区町村 |
加入対象者 | 歯科医師、従業員、その家族 | その市区町村に住む自営業者、無職者など |
保険料算定(主な違い) | 原則定額(所得に左右されにくい) | 所得割+均等割など(所得に応じて変動) |
扶養概念 | なし | なし |
福利厚生(傾向) | 組合独自の健診補助、保養所などがある場合が多い | 自治体により異なるが、限定的な場合が多い |



収入が増えても保険料が変わらないのは、歯科医師国保のメリットですね



はい、所得が増加した場合、市町村国保よりも保険料を抑えられる可能性があります
また、運営主体が異なるため、歯科医師国保では組合独自の福利厚生(健康診断の補助など)が提供される場合がある点も異なります。
協会けんぽ(社会保険)との相違点
法人化した医院や常時5人以上の従業員を雇用する個人事業所が原則加入する協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)と歯科医師国保も比較が必要です。
最も大きな違いは保険料の負担方法と扶養制度の有無です。
協会けんぽでは保険料を事業主と従業員で半分ずつ負担(労使折半)し、従業員に扶養されている家族(配偶者や子など)の保険料はかかりません。
一方、歯科医師国保は労使折半の義務がなく、扶養家族も個別に保険料が必要です。
比較項目 | 歯科医師国保 | 協会けんぽ(社会保険) |
---|---|---|
保険料負担 | 労使折半の義務なし(医院負担か従業員負担かは規定による) | 原則、事業主と従業員で折半 |
保険料算定 | 原則定額(従業員の場合) | 標準報酬月額(給与)に応じて変動 |
扶養制度 | なし(家族も個別に保険料が必要) | あり(被扶養者の保険料負担なし) |
傷病手当金 | 組合により有無・内容が異なる | あり(支給要件あり) |
出産手当金 | 組合により有無・内容が異なる | あり(支給要件あり) |
加入義務(原則) | なし(任意加入に近い) | 法人、常時従業員5人以上の個人事業所は強制加入 |



扶養家族がいる従業員にとっては、協会けんぽの方が有利な場合もあるのですね



おっしゃる通りです。従業員の家族構成によっては、協会けんぽの方が手厚い保障を受けられるケースがあります
さらに、協会けんぽには傷病手当金や出産手当金の制度が法定給付として設けられていますが、歯科医師国保では組合ごとの任意給付となるため、内容が異なる点も重要な比較ポイントです。
歯科医師国保の給付内容と手続き関連情報


歯科医師国保に加入することで、病気やケガ、出産、死亡といった様々な場面で給付を受けられます。
万が一の際の経済的負担を軽減するために、どのような給付があるかを把握しておくことが重要です。
この見出しでは、法律で定められた医療給付(法定給付)や高額療養費制度、組合独自の任意給付、そして加入や資格変更の手続き、必要な書類について詳しく解説します。
これらの情報を理解することで、制度を有効に活用し、安心して歯科医療に従事するための備えができます。
安心して日々の診療に臨むためにも、利用できる制度はしっかり確認しましょう。
受けられる医療給付(法定給付)
歯科医師国保で受けられる法定給付とは、国民健康保険法に基づいて定められている給付のことを指します。
これは、どの組合に加入していても共通して受けられる基本的な保障内容となります。
具体的には、病気やケガで医療機関にかかった際の医療費の一部負担(原則3割)をはじめ、入院時の食費の一部負担、出産した際に支給される出産育児一時金(令和5年4月以降、原則50万円)、加入者が亡くなった際に葬儀を行った方に支給される葬祭費などが含まれます。
これらは、私たちの健康と生活を守る上で基盤となる給付内容です。



もし病気で入院したら、医療費はどのくらい負担するのでしょうか?



医療機関の窓口での自己負担割合は、年齢や所得に応じて原則1割から3割となります
これらの法定給付は、健康保険の根幹をなす重要な保障です。
高額療養費制度の活用
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った医療費が、1か月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額が支給される制度です。
重い病気やケガで医療費が高額になった場合でも、自己負担額が際限なく増えるのを防ぐ目的があります。
自己負担限度額は、加入者の年齢(70歳未満か70歳以上か)や所得水準によって区分されており、例えば70歳未満で標準報酬月額が28万円~50万円の方の場合、1か月の自己負担限度額は約8万円強となります(総医療費によって計算式が異なります)。
この制度を活用することで、予期せぬ高額な医療費が発生した場合でも、経済的な負担を大きく軽減させることが可能です。
所得区分(70歳未満) | 自己負担限度額(月額) |
---|---|
年収約1,160万円~ | 252,600円+(医療費-842,000円)×1% |
年収約770万円~約1,160万円 | 167,400円+(医療費-558,000円)×1% |
年収約370万円~約770万円 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% |
~年収約370万円 | 57,600円 |
住民税非課税者 | 35,400円 |
- 総医療費(10割)をもとに計算
- 過去12か月以内に3回以上上限額に達した場合は、4回目から「多数回該当」となり、上限額が下がります
- 詳細は加入する組合にご確認ください
高額な医療費がかかった際は、忘れずに申請手続きを行いましょう。
組合独自の任意給付(傷病手当金など)
法定給付に加えて、各歯科医師国保組合が独自に定めている給付を任意給付と呼びます。
これは組合の財政状況などに応じて設けられるもので、内容や有無は組合によって大きく異なります。
例えば、病気やケガで仕事を休んだ場合に支給される傷病手当金、出産のために仕事を休んだ場合に支給される出産手当金、人間ドックやインフルエンザ予防接種の費用補助、保養施設の利用補助などが挙げられます。
全国歯科医師国民健康保険組合では、傷病により入院した場合、事業主(第1種組合員)には傷病手当付加金として1日4,000円、従業員(第2種・第3種組合員)には1日3,000円、家族には1日1,500円が支給されます(上限日数あり)。
加入を検討する際は、こうした任意給付の内容も比較検討することが大切です。



組合によって、受けられるサービスが違うってことですか?



はい、傷病手当金の有無や健康診断の補助内容は組合ごとに異なりますので、加入前に確認が必要です
任意給付は、法定給付を補完する重要な役割を果たします。
加入や資格変更の手続き方法
歯科医師国保への新規加入や、就職・退職・結婚・出産などに伴う資格変更の手続きは、所属する(または所属予定の)歯科医師国保組合の窓口で行います。
手続きには、それぞれの状況に応じた書類の提出が必要です。
一般的には、まず加入したい旨を組合に連絡し、必要な申請書類を取り寄せます。
記入した申請書類に、住民票や事業所の証明書類などを添付して提出します。
審査を経て承認されると、保険証が交付されます。
従業員の場合は、通常、事業主(院長先生)を通じて手続きを進めることになります。
資格喪失(退職など)の手続きも同様に組合へ届け出る必要があります。
手続きが遅れると保険料の請求や給付に影響が出る可能性があるため、変更があった場合は速やかに届け出ましょう。



引っ越した場合も手続きが必要になりますか?



はい、住所変更も組合への届け出が必要です。手続き方法は組合にご確認ください
手続きは、期限を守って正確に行うことが重要です。
手続きに必要な主な書類一覧
歯科医師国保の各種手続きには、状況に応じて様々な書類が必要となります。
ここでは、主な手続きと必要になる可能性のある書類をまとめました。
ただし、組合によって必要書類は異なる場合があるため、必ず事前に加入(または加入中)の組合にご確認ください。
手続きの種類 | 必要となる可能性のある主な書類 |
---|---|
新規加入(事業主) | 加入申込書、歯科医師免許証の写し、開業届の写し、住民票 |
新規加入(従業員) | 加入申込書、雇用証明書(または事業主の証明)、住民票 |
家族の追加 | 加入申込書(変更届)、追加する家族の住民票、続柄を確認できる書類(戸籍謄本など) |
退職(資格喪失) | 資格喪失届、保険証の返却 |
氏名・住所変更 | 変更届、変更内容を確認できる書類(住民票など) |
出産育児一時金の申請 | 出産育児一時金支給申請書、母子健康手帳の写し(出生届出済証明)、医療機関等から交付される合意文書の写し、領収・明細書の写し |
高額療養費の申請 | 高額療養費支給申請書、医療費の領収書(組合によっては不要な場合あり) |
傷病手当金・入院給付金の申請 | 各種給付金申請書、医師の証明書、出勤簿の写し(傷病手当金の場合)、入院期間を証明する書類(入院給付金の場合) |
- 上記は一般的な例であり、組合や個別の状況により異なります
- マイナンバー(個人番号)の記載や本人確認書類の提示が求められる場合があります
書類に不備があると手続きが進まないため、事前にしっかり確認しましょう。
よくある質問(FAQ)
- 歯科医師国保の保険料は、どのように支払うのですか?
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保険料の支払い方法は、加入されている歯科医師国保組合によって定められています。
一般的には、銀行口座からの自動引き落とし(口座振替)が多いです。
組合によっては、他の支払い方法も選択できる場合がありますので、詳しくはご加入の組合のホームページやお知らせをご確認いただくか、直接お問い合わせください。
- 歯科医師国保に加入したら、保険証はいつもらえますか?
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歯科医師国保への加入手続きが完了し、組合での審査・承認が終わりますと、保険証が発行されます。
通常、手続き完了後、1週間から2週間程度で郵送にて届きます。
ただし、手続きの混雑状況や組合によって日数は変動することがあります。
申請時に組合へ確認すると安心です。
- 従業員の歯科医師国保の保険料は、医院と従業員のどちらが負担するのですか?
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歯科医師国保の保険料には、協会けんぽのような事業主と従業員で半額ずつ負担する義務(労使折半)はありません。
そのため、医院が全額負担する、医院と従業員で取り決めた割合で負担する、あるいは従業員が全額自己負担するなど、負担方法は各歯科医院の就業規則や雇用契約によって決まります。
加入前に医院の規定を確認することが大切です。
- 歯科医院を退職した場合、歯科医師国保を続けることはできますか?
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歯科医院を退職すると、原則として歯科医師国保の加入資格を失います。
協会けんぽには退職後も一定期間加入し続けられる「任意継続」の制度がありますが、歯科医師国保には基本的に同様の制度はありません。
退職後は、お住まいの市区町村の国民健康保険に加入するか、ご家族の健康保険の扶養に入る、または再就職先の健康保険に加入するなどの手続きが必要になります。
- 支払った歯科医師国保の保険料は、確定申告で控除できますか?
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はい、ご自身や生計を同一にするご家族のために支払った歯科医師国保の保険料は、その全額が社会保険料控除の対象になります。
これは所得税や住民税を計算する際に、所得から差し引かれます。
年末調整の対象となる方は勤務先に支払額を申告し、ご自身で確定申告を行う方は、確定申告書に支払った保険料の合計額を記載して申告してください。
- 歯科医師国保では、どのような健康診断の補助が受けられますか?
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健康診断に関する補助の内容は、加入している歯科医師国保組合によって異なります。
多くの組合では、加入者を対象とした特定健診(いわゆるメタボ健診)の費用補助や、人間ドックの受診費用の一部補助などを実施しています。
補助対象となる検査項目、補助額、利用できる医療機関、申請方法などは組合ごとに定められていますので、ご加入の組合のホームページや広報誌などで詳細をご確認ください。
まとめ
この記事では、歯科医師やその医院で働くスタッフ、ご家族のための特別な医療保険制度である歯科医師国保について解説しました。
一般的な国民健康保険や協会けんぽとは異なるため、ご自身の状況に合った保険を選ぶ上で、制度の仕組みを正しく理解することが大切です。
- 歯科医師だけでなく従業員(歯科衛生士、歯科技工士、歯科助手など)やその家族も加入対象
- 従業員の保険料は収入に関わらず一定額だが、扶養の考え方がなく家族分の保険料も必要
- 協会けんぽと異なり、傷病手当金などの任意給付の内容は組合によって異なる
- 法人や従業員5人以上の医院が加入(継続)するには適用除外承認の手続きが必要
歯科医師国保への加入や他の保険との比較検討を行う際は、加入を考えている組合の具体的な保険料や給付内容、手続き方法などをしっかり確認しましょう。